第156回 AIチャット君にはできないコト
Hello!Granny Hirokoです。
まもなく、英検が実施されます。
Reading Writing Listening の三技能が、一次試験では試されますね。
この中で、なんと言っても中学生高校生にとって難題となるのが英作文。
これにはいろいろとコツもあり、テンプレートをきちんと押さえて、とにかく
単語を間違わず、文法ミスをせず、平易な英文でいいから、理論的な作文が
書ければ、得点できるのですが。
何回もこのブログでも書いていますが、今のお子さん達は、作文力がない。
日記をつける習慣などないだろうし、ツイッターとかインスタをやっていたとして
も、そこに書く文章は数行だし。なかなか自分の考えを具体的に論理的に
書く訓練がそもそもできていないのだから、大変です。
おそらく、日本語でも難しいはずです。
昨今AIのChat GPTについて、文科省でも論争が繰り広げられていますが、
長い文章の翻訳だって数秒でこなしてしまうChatGPT君。これを使えば
英作文なんてちょちょいのちょいやで!みたいな答えが返ってきそうですが。
『ちょっと待った!』それがそうではないのです。
確かにほんの1,2年前のグーグルの翻訳などに比べたら、ずいぶんとこなれて
おかしな訳は少なくなってきましたが。
例えば、この日本文を英訳してみてください。
★この数学の問題は難しすぎて、私には手も足も出ない。
これを直訳してしまうととんでもない文章になります。
This math problem is too difficult for me to put my hands and feet out.
『手も足も出ない」を、ひと昔前の翻訳機能は、こんな風にとんちんかんな直訳していました。
さっき、ChatGPT君に依頼したら、速攻見事な正解を導き出してきました。
This math problem is too difficult for me to figure out.
figure out は 理解する、わかる、の意味。見えていなかったものが見えてくるって意味が語源なのです。
もちろん、中学生ならこんな熟語は知らないだろうから、チャット君に宿題やらせたことが、先生にはバレますね(笑)
This math problem is too difficult for me to solve.
この数学の問題は私には難しすぎて解けない。
これで100点でしょう。
以前にも何回も書きましたが、「手も足も出ない」というような日本語特有の表現それをそのまま、絶対直訳しないこと。
小学校低学年の子供にわかるような日本語にまず、かみくだく。
7~8歳の子供に教えるとしたら、「手も足もでない」ってことは、
難しすぎて、自分にはわからない、解決できない、つまり、ここでは数学の問題だから、解けないってことだよ、と説明しませんか?
そう!それをそのまま直訳したらOKです。
★ここは、私には場違いのような気がする。 では、この文はどう訳しますか?
I think this place is different for me.
ある中学生の珍答ですが、決して笑えない。
大人だってこれに近い間違いをしますから。
ここでも「場違い」という言葉を小さい子に説明してみましょう。
「自分がその場所にふさわしくない」「自分はこの場所に合っていない=疎外感(
はじきだされた感じ)を感じる」ぐらいにかみくだけたらOKです。
正解は I feel out of place here. となります。
日本語脳でそのまま英訳をしてはいけない。
一度かみ砕いて、平易な日本語にしてそれを直訳。
これが正しい英作文への近道、テクニックです。
こういう指導をきちんとするのが、AI君ではないヒトの英語の先生の仕事です。
さて、AI君にはできない事についてもう少し。
英作文以前の問題、の日本語での作文力」 これはどうやって養いますか?
これは本当に幼い日から少しずつの読書であるとか、折に触れ手紙やグリーティングカードのようなものを書かせる
とかの積み重ねで培われるかと。
手遅れやん!うちの子もう中学生、とか高3やねんけど!って焦るお母さんの声が今聞こえました。(笑)
中高生には、ぜひ、食卓で、時事問題(今日のトップニュースみたいなこと)を話題にして、
「あなたはどう思う?」と投げかけてあげてください。
えーわからん!
そんな答えが返ってくるはず。ここで、引き下がったらあかんよ。
そしたら、賛成か反対か?どっち?それぐらいなら答えられるやん。
そして、その理由を聞いてあげてください。
それがどんなに幼稚な拙い理由であっても笑わない、否定しない。
まずは肯定してやって、そのあとに「大人としての意見」「理由」を述べる。
そんなちょっとした積み重ねが、お子さんの語彙や、知識欲や、ひいては作文力を養います。
今からでも遅くない。実践あるのみ。
ささやかな親子の会話の時間が増えるかも知れません。
やってみたことないコト、やってみてください。
それでもダメなら、また違うことを試せばいい。
時間はたっぷりあるでしょ?