· 

第149回 好きこそものの上手なれ

第149回 好きこそものの上手なれ



HelloGranny Hirokoです。

 

先日うれしいことがありました。

 

卒業生のT君が、アメリカの短期留学から帰国し、お土産を届けてくれました。

 

夜遅くで、そのまま京都の下宿へすぐ戻るという時間帯だったので

 

お母さんが一筆箋のお手紙を添えて、ポストに投函してくださっていました。

 

オレゴン州は、コーヒーの産地だったということで、

 

シナモンとヘーゼルナッツのフレーバーコーヒー。

 

へえ、大人になったねえ、こんなおしゃれなお土産を選んでくれたのね。

 

そういや、この子が授業中眠いって言った時に、コーヒー淹れてあげたことがあったのを思い出し

 

た。ちゃんと丁寧に入れたコーヒーを。だからかも?

 

インスタントじゃなく豆を選んでくれてる()

 

オンラインじゃなくリアルで教室していたころは、手作りおやつやら、おにぎりやら

 

いろんなもの、食べさせてたなあ。晩御飯食べずに来て、カレーやカツ丼食べた男子も(笑)

 

だから入会希望所には、食物アレルギーを書いてもらう欄も設けてた()

 

飴と鞭、まさしく「おやつ」で釣ってたかも()

 

T君は、英語のセンスがあるほうではなかったから、それはそれは努力してた。

 

中学3年間来てくれて、高校は野球中心の生活だったから、いったん英語レッスンをやめて

 

受験が目の前に迫った、高校3年の春からやってきた。

 

よくある、『スポーツ推薦で大学進学が厳しくなるかも知れない』という宣告を監督から

 

受けたのだ。ほんま、可哀そう。それだけに賭けて三年間頑張ってきたのに。

 

先発メンバーにはついに入れなかった彼。

 

コロナ禍の中の夏の甲子園。

 

大阪は激戦区。あまりにも多い強豪校の中からの選抜。

 

いい線まで行ったけれど大阪の予選大会で惜しくも敗退。

 

彼はベンチ入りすることはなく、高校球児としての彼の夏が終わった。

 

スタンドで応援していたお母さんも涙が止まらなかったと。

 

野球部員が100人くらいいる野球部で、メンバーになるのは至難の業。

 

なれなくて辞める子も多い中、最後までベンチ入りは叶わないと知りながら

 

最後まで頑張ったT君の根性には大拍手を送った。

 

ピッチングマシーンが壊れて、暴投されたすごいスピードの玉を顔面に受けて

 

鼻を複雑骨折してたこともあったなあ。ほんまに、よう頑張ったよ。

 

さあ、高校での野球人生は終わった!

 

さあ、そこから、公募推薦入試を受けると決めた彼の『英語の追い上げ』は凄かった。

 

ほとんど勉強していなかったから、高校1年の範囲からもう一度文法をやり直し

 

しながら、志望校の赤本の過去問を解いていく。

 

どんなに沢山宿題を出しても、単語のスペルや文章の間違い直しを

 

大量にやらせても、彼は決して根をあげなかった。

 

それは、厳しい野球部で、監督や先輩に『カラスは白いな』って言われたら

 

『はい、白いです!』と答えなければならないような、体育会系独特の

 

しごきにも耐えて培われてきた根性と、監督や先輩のアドバイスは素直に

 

受け入れてついていく、という、野球小僧にあるあるな、まっすぐすぎるまっすぐさ。

 

今、パワハラって騒がれてよく問題になっている監督がいるけど、あんなん氷山の一角やから。

 

甲子園出場校や、インターハイや国体出場種目のクラブにはどこでもあるあるな話。

 

程度の差、だけやと思う。

 

けれど、それは短期間に莫大な量の学習をこなさなければならない彼を指導する私にとっては

 

とてもありがたかった。私の指導には歯を食いしばって信じてついてきてくれた。

 

彼には「大学に入って野球部で今度こそメンバー入りする」という確固たる目標が

 

あったから。それって、やっぱりすごいモチベーションだと思う。

 

本当にがんばって、がんばって、彼は志望校に合格し、今も大学の野球部に入部して

 

楽しい大学生活を送りつつ、『できなかったけれど好きだった英語』で

 

国際学部に在籍して、この度留学を果たしたというわけで。

 

いやあ、すごい男です!

 

私には今の彼の活躍ぶりが嬉しい限りなのです。

 

今回の留学から帰ってきて、開口一番、お母さんに。

 

「アメリカはすごかった。また、行きたい!」と。何がすごかったのか聞いたら、

 

「治安がものすごく悪かった。日本ってほんとうに平和で安全な国やなあと

 

つくづく思った。大変な思いもしたけれど、また行きたい。異文化の中で学びたい。

 

お母さん、留学させてくれてありがとう!」と告げたらしい。

 

おお!ええ男に仕上がってきたねえ。

 

お母さんはもちろん、ウルウルされたようで。

 

子供は変わります!留学するのは、英語を学ぶためだけじゃないから。

 

若く、感性が鋭い時期に、違う世界を見た人たちは本当に世界観が変わる。

 

 ぜひとも、もう一度、もう二度、いろんな世界を見てきてほしいです。

 

そして彼の、「得意ではなかったけれど今も英語が好き」という言葉が

 

とてもとてもうれしい私です。

 

次の年次には、「ヒロコせんせにそっくりな感じの先生のゼミに入るねん。」って嬉しそうに話して

 

いたらしい彼。

 

お母さん曰く「なんやかんや言うてもヒロコ先生のこと、好きなんやなあと思いました。」

 

これ以上嬉しい言葉はありません。

 

しごきまくった私を嫌いにならないでくれてありがとう。

 

伸び悩んでいた英語を嫌いにならないでくれてありがとう。

 

いつも、『ひろこ先生を嫌いになっても、英語を嫌いにならないでください!』

 

って、前田敦子ちゃんのように心の中で叫んでいる私です。

 

コーヒーはモカ系の酸味でそこにシナモンとヘイゼルナッツの香りと味が広がって

 

T君を思いながら、ちょっとウルッとしたひと時でした。

 

 

ではまた来週!良い週末を!