後進を育てるということ
こんにちは!Granny’s オンライン英語教室のGranny Hirokoです。
今日のテーマは『人(後進)』を育てるということ。
昨日のブログの続き、というか、また、旅先で気づいたことについて記します。
私達が宿泊したお宿は、その地方ではもちろん、全国的にも料理旅館として知名度の高いお宿。
地産地消の新鮮な素材の良さを余すことなく引き出した優しいお味、奇をてらったような仕掛けのある献立ではなく、出汁にこだわり、優しい味付けは老若男女の舌を唸らせ、リピーターが沢山いるお宿です。
そこで、一泊目に出されたお料理は、その地域で、これまたクラフトビールの工場を一念発起で立ち上げた若いビール職人さんのビール工房の様々な商品と、お宿のお料理のマリアージュを試みたビールフェアのコースでした。
一品ずつ懐石で出される和食と、クラフトビールが見事な調和を醸して、大満足でした。
山椒や、コーヒーや、ほうじ茶の風味を加えたもの、ベルギービールのような柑橘系の香り、味のものが、それぞれにすばらしく料理を引き立てていました。
さて、そのお料理を提供してくれたのが、今年、新しく料理長に就任されたというM君。
まだ30代の新進気鋭の職人さんです。でも既に10数年、前の料理長(現総料理長)の下で
修行と研鑽を積まれてきた腕は確か。
黙って出されていたら、料理長交代に気が付かなかったかも知れません。
出汁や、素材の下拵えにものすごく手間暇がかかっているところは、前料理長時代と変わらずでしたが、どこか(うまく言えないけれど)、
盛り付けや、食材選びなどに、若い感性を感じて、それもまた素晴らしいな、と言うのが私の感想でした。
前料理長は、昔一大ブームを巻き起こした「料理の鉄人」で、道場さんに勝った本当に腕のある名の有る料理人さん。
そういう方って、一代で終わることが少なくないと聞きます。
自分が苦労して習得した技を、出し惜しみして後進に伝えないとか、腕のない弟子にやらせると時間がかかるから、もう自分がやった方が間違いがないからと手を出してしまう。
だから後進が育たないと。
ところが、このお宿の板場では、前料理長の味が見事に若手に引き継がれていました。
男気のある、懐の広い前料理長のお人柄ならではやなあと、つくづく感心。
そして、その(おそらく厳しいご指導もあったかと)教えを真摯に学び、盗み取った新料理長さんの素直で誠実な人柄にもまた拍手を送りたい。
コースの始めに、
緊張で固まった表情の新料理長さんが
「実は、今日は、おやっさん(前料理長)抜きで、最初から最後まで私が一人で仕立てあげた懐石コースなんです。どうぞお召しあがりください。」
と、挨拶をされました。
このフェアの参加者は、殆どがリピーターさんでしたから、みんな前料理長の料理の味を知りつくしておられる方々。
その人たちを前にものすごいプレッシャーやったと思います。
でも、彼はデザートに至るまで、見事に全力を発揮されていました。
若い人の真面目で熱い仕事ぶりを拝見して、そしてそれを育てた人の「男前ぶり」を感じとって新料理長のデビュー戦に立ち会えたことを本当に幸せに思いました。
人に教えること、人を育てること。
本当に難しい。
どこまで教えて、
見守って、
どこで突き放して、
一人で歩けるまでに育てるか。
職人さん達の生きざまに、学ばせていただきました。
私自身、一人娘で、溺愛されて育ったので、若い頃はひとりで出来ないことが多く、色々と苦労しました。
なんせ、結婚して、マンションのカギを主人からもらって、生まれて初めて「鍵をかけて家を出る」ということを体験したぐらいですから。
祖父母が必ず家にいたし、万一大人が全員いない日には、ご近所に預けられるという過保護ぶりでしたから。
なんでも出来るお母さんの子供は、何にもできない。
おしゃべりなお母さんの子供は、口が遅い。
母子関係あるあるです。
先回りして、
なんでもお母さんが
脚本を書いていては、
子供の人生は
面白くありません。
見守りながら、
全部教えきったら、
突き放す。
そのタイミングは
見極めなければなりませんが。